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お粗末な「ぶつつけ工法」を見抜くには

2015年8月9日「日曜日」更新の日記

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腕のよい料理人が上質の素材を選ぶように、住まいの建築でも腕利きの大工はよい木の素材を求める。しかし、柱一本、敷居一丁にしても、もし大工が取り扱いを誤ってムダにしてしまったら、何日もただ働きを強いられるほどの損失になる。腕に自信がなければ、高価な材木は扱えない。 ヒノキのカンナがけにしても、よく研いだ刃と狂いのないカンナの台、それに技量が伴って、若い女性のもち肌のように薄桃色の木肌に仕上がる。 ところで、昨今の建築現場には「ぶつつけ工法」がまかり通っている。ぶつつけ工法とは、ただ簡単に釘を打って部材を止める方法である。幅木の施工を例にとって説明しよう。 幅木を取り付けた部分を拡大したものだ。幅木の表面に釘が出ていないので、仕上がりが美しい。幅木の上部から釘やビスなどで床に止めている。こうすれば幅木が床にしっかり固定されるので、決してはがれない。釘のキズもなく、見た目もきれいに仕上がる。幅木の上は漆喰壁である。 これに対しぶつつけ工法は、幅木に直接釘を打って壁に止めつけてしまうか、ノリで張り付ければよい。釘で止めると釘の跡が残るから、幅木を茶色や白に塗装する場合は、パテで釘穴をふさぐ。また、跡を目立たなくするために釘の頭を落とすこともあるが、こんなことをすれば後になって外れやすくなる。なぜこんなぶつつけ工法がまかり通っているのだろうか。 大きな理由は、コストが下げられることだ。図1の幅木に対して、3の幅木の体積は二分の一から三分の一ですむから、当然、幅木自体の価格も下がる。クギを打つだけだから手間がかからず、大工の手間賃も節約できる。紙や木くずを固めた幅木を使うのに技術はいらない。 腕利きの大工なら、よいものを作って長く誇りにしたいと考える。しかし今の住宅業界は、儲け中心の企業が市場を支配し、ぶつつけ工法が当たり前になっている。名の知れた住宅メーカーでさえ、ほとんどこの工法である。

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