トップ > 平成28年3月> 29日

画期的な構造改革の始まり

2016年3月29日「火曜日」更新の日記

2016-03-29の日記のIMAGE
 住宅市場では、これから画期的な構造改革が始まります。中古一戸建ての評価手法を、国が根本的に見直そうとしているのです。これまでのように20年~25年で建物の価値をゼロとみなす慣行を改め、築年数にかかわらず、実際上の価値を測る、30年、40年と築年数が経過しても、一定の条件を満たす住宅については、しかるべき評価が行われる市場を創ろうということです。  米国では住宅投資に見合うだけの資産額が蓄積しており、この資産額は言うまでもなく米国国民のものです。  ところが、わが国では投資累計を500兆円を下回るストックしか積み上かっていません。文字通り500兆円をどぶに捨てた格好です。しかし実際は再生・再評価できる中古住宅が山のようにあります。  では、中古住宅の「実際上の価値」はどのように算出するのでしょうか。米国ではこの実際上の価値を「 残存経済的耐用年数(Remaining Economic Life)」を割り出すことによって算出しています。  「1 物理的耐用年数」の少し手前に「2 経済的耐用年数」があります。経済的耐用年数は一般的な木造住宅で60年程度になる見込みですが、建物のコンディションなどについてアプレイザー(評価員)が把握し、「3 現実の築年数」に対する「4 事実上の築年数」を決定します。すると「残存経済的耐用年数」が出てきます。これが「事実上の価値」の基礎となります。  木造住宅の経済的耐用年数を60年と決めた場合、例えば築30年の中古住宅なら「残存経済的耐用年数は30年だが、この住宅は事実上築20年だ、したがって残存経済的耐用年数は40年」というように考えます。こうした査定手法が一般的になると、築20年で建物の質が良くない中古住宅よりも、築40年で質の良いもののほうが、評価が高くなる可能性も出てきます。  マンションの場合は「管理の質」も指標化する必要があります。現実問題として、建物の寿命はもちろん、修繕にかけるコストや、住みごこちに至るまで、マンション管理組合の運営状態がもたらす影響は計り知れません。  しかし、現状の中古マンション売買の現場では、マンション管理組合の動向を把握するのは容易ではありません。事前に把握できるのは、重要事項説明書に記載することになっている「大規模修繕の有無とその予定」「修繕積立金の額」くらいです。  本来なら管理組合の議事録などが閲覧できるとよいのですが、「所有者(管理組合員)にしか見せられない」といった対応のマンションがいまだに多いのが実情です。マンションの管理状態について、公覧や第三者評価を義務付けるくらいのことをしなければ、適切な評価はおぼつかないでしょう。  この点についての情報が「ストック」でどのように扱われるのかまだ明確になっていません。しかし、情報公問されているマンションについては高い評価がつき、そうでないものは大幅な減点をするなどの調整を行うものとみられます。米国では長期修繕計画を始めとする管理組合の運営状況について、買主はもちろん、住宅ローンを出す金融機関もチェックをしています。  国交省が主宰する「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」では、13年から金融庁や3大メガバンクを始めとする金融機関、宅建業者や不動産鑑定士、学者などを集めて、中古住宅の評価手法について検討しています。  築年数が経過しても、しかるべき建物について一定の価格づけが行われるためにはどうしたらよいか、といった議論はこれまで何度も行われてきました。そのポイントは何より「融資」にあるとして、主に金融機関による担保評価について見直そうということです。

このページの先頭へ