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住宅が価値を持つ条件―点検とメンテナンス

2016年4月2日「土曜日」更新の日記

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 「中古住宅はよくわからない、こわい。だから新築が安心」という感覚をお持ちの方もまだまだ多いでしょう。しかし、どんな中古住宅もかつては新築でした。経年劣化するのは新築も中古も同じで、建物の宿命です。  中古住宅市場は、経済学でいう典型的な「レモン市場」です。市場で売っているたくさんのレモン。見た目はきれいでも、中身が腐っているレモンやスカスカのレモンも混じっています。どれを買ったら良いのか見分けがつきません。したがって、どのレモンも信用できなくなり、市場全体の価値が下がってしまう状態を、「レモン市場」と呼びます。  新築住宅を買う際には、各種の税制優遇や住宅ローン金利・期間の優遇を受けながら、物件の資産価値がピークのところで購入します。ところが、買って住んだ瞬間からそれは「中古住宅」の認定を受け、20%程度の資産価格低下、10年で半値、20~25年でゼロと、時間が経過するごとに価値は大きく下落していきます。新築住宅を販売する産業側・業界側が最大限の利益を取り、ユーザー(国民)が住宅を譲り受けたとたん、その価値が著しく下落していくという構図です。  このことを解消するには「所有者は適切に点検・メンテナンスを行っている」という宣言が欠かせません。建物は当然時間の経過に従い、劣化します。劣化を放置していれば、さらなる劣化を招く元凶になります。また、雨漏りや水漏れなどの問題が発生してから補修を行う対症療法より、未然に防止するほうがコストも低くなるし、結果として建物の寿命も延びます。こうした建物のメンテナンスの努力が中古住宅の評価につながります。  「点検口の有無」も重要です。一戸建てなら床下と天井裏、マンションの場合は配管が通っているパイプスペース(PS)などに点検口はあるでしょうか。  今どきこれらがついていないような住宅を提案する業者は、メンテナンスの意識が足りず、勉強不足の時代遅れと断言していいでしょう。  もし私ならば、そういった業者の新築物件は買いません。中古住宅を購入する場合は、点検口がついていないケースも多いですから、近隣の工務店に依頼して設置してもらいましょう。費用は数万円で、年に1回程度の点検で防げる雨漏りや水漏れなどの放置による損害と比べたら安いものです。  世の中、本当に「もったいない住宅」ばかりです。せめて年に1回、建物を一通り点検しておけば防げただろう水漏れなどの損害によって、売れなくなったり、無駄にお金がかかるケースがいかに多いかを知って欲しいです。  住宅データベースには、こうした「点検・メンテナンス履歴」も盛り込まれ、金融機関や不動産仲介会社による評価項目にも加えられる見込みです。米国のいくつかの州では、点検や修繕を行った旨の書類や記録を、所有者が積極的にデータペースに登録します。所有者にはその登録による住宅価値の維持・上昇期待というモチベーションがあります。日本もこうした状況を目指し、データベース整備が進められています。

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