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住宅が価値を持つ条件―建物の形状・素材・省エネ性

2016年4月3日「日曜日」更新の日記

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 複雑な形状の建物は必然的に角や隅の部分が多くなるため、その分だけ雨漏りの可能性を増やします。例えば外壁の大規模修繕などを行う場合、たくさんの足場を組む必要が生じます。修繕費の内訳をみると、およそ半分以上がこの足場代ですから、複雑な形状の建物は足場代がかさみます。  望ましいのは「直方体」など極力シンプルな建物です。デザイナーズ住宅などといって売りに出されていても、メンテナンスがしにくかったり、修繕費用が余計にかかったりするのでは無意味です。本当にデザイン性が高い住宅とは、「シンプルな形状だけどカッコいい」ということを踏まえておきましょう。  また、大切なのが、建物に使われている「素材」です。メンテナンス期間が長い素材や仕様であるかどうかということです。キッチンなどの設備はなるべく汎用性の高いものが望ましいです。部品などが破損した場合「海外から取り寄せるために○カ月かかります」では不便極まりないし、コストも高くつくことになります。  続いては省エネ性です。日本では、住宅の省エネ性に関して義務化された基準はありません。これは先進国では珍しいことです。だから断熱材のない、コンクリート打ちっぱなしの住宅を建てることも可能です。  その代わり、我が国には任意基準としての「次世代省エネルギー基準」というものがあります。ネーミングを見るとなにやら時代を先取りした基準のように聞こえますが、何のことはない、14年前に制定された、時代遅れの基準です。先進国の多くはこれよりはるかに高い基準を義務化しています。断熱材のないコンクリート打ちっぱなし住宅などは決して建てられません。  遅ればせながら、日本でも20年にはすべての新築住宅について省エネ基準が義務付けられることになっています。そのレベルはまだ決まっていませんが、エネルギーコストの一層の高騰が見込まれる中、世界のトレントは「省エネ」で、この流れに日本も追随していくこととなるでしょう。  そうなれば、省エネ性の高い住宅は住宅ローン金利や各種税制で優遇されることとなり、資産性も保たれやすくなります。もちろん、光熱費を抑制できランニングコストは低くなります。結露などの不具合も起こしにくいことから建物の寿命も延びます。  例えばドイツでは、持ち家でも賃貸でも、日中の室温が19度以下になるような住宅を貸すことはできません。理由は「基本的人権を損なうから」です。ドイツ国土交通省の持続可能な建築部部長のH氏によれば、賃借人に裁判を起こされたら貸主は負けるだろうとのことです。  さらに中古住宅を売り出す際には、その住宅が消費する年間エネルギー量を表示しない と、売ることはできません。税金や住宅ローンは、省エネ性能が高い住宅ほど優遇されており、ゆえに資産価格にも当然のように差がつきます。  こうしたドイツの住宅省エネ政策は注目され、世界中から視察団がやって来ます。世界は住宅の省エネ性能を極める方向に向かっています。エネルギー価格が今後高騰すると見込まれるなか、国家安全保障・経済対策としてエネルギーの自立が求められています。なによりまず、エネルギー消費を減らすこと、省エネが近道になります。

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