トップ > 平成28年10月> 12日

不動産屋の売りたがるお薦め物件

2016年10月12日「水曜日」更新の日記

2016-10-12の日記のIMAGE
<投資家にとって必ずしもいい物件ではない>不動産屋が売りたがる物件とは、不動産屋に利益の上がる物件のことです。決して投資家に利益が上がる物件ではありません。税理士業のクライアントと世間話になった時、新しい物件を購入した方が、「馴染みの業者によくしてもらって、スムーズに購入できました」などと仰ることがあるのですが、物件の情報を伺ってみると、呆気に取られてしまうことが少なくないのです。皆さんも、そのようなことがよくあること自体は想像の範囲内でしょう。少し脚色を施した実例をご紹介いたしましょう。その物件は、利回り8%と称して売られていた8室のアパート1棟で、ロフト付ワンルームの一部屋の家賃は8万円です。月額64万円×12ヶ月で、満室の場合、年間の家賃収入は768万円。利回りで割った定価は9600万円ですが、仲介料、登記料などが実質かからない形で、「お客様にはお世話になっているので値引きますよ」と9000万円でいいと言ってくれた――とクライアントはご満悦でした。しかし、このアパートの積算評価を見てみると、何と3500万円!この物件に対して9000万円近いローンを組んでいたクライアントは、6500万円ものオーバーローン、完全に債務超過と言うべき状態です。はっきり言ってしまえば、個人なら破産寸前、企業でも一歩誤れば大変なことになると懸念され、どんな金融機関も追加融資はお断りでしょう。利回り8%を充分高い数字であると感じる方が多い風潮を悪用して、とてつもない高値で売り抜けた格好です。私なら積算評価程度の価格卜利回り20%をベースにやっと購入するかしないかを検討するでしょうネ。とはいえ、「その4」の条件にもあるように、積算評価が全てではありませんし、「家賃収入がそれなりに入って、本人が喜んでいるなら余計なお世話をするべきではないのかな」と思っていたのですが、それからしばらくして、この物件を買った方が「また新しく融資を受けて、物件を買おうと思っているんだ」と仰っていたので、再び同じ轍を踏んでは大変だと思い、私の見解を伝えざるを得ませんでした。結局その方は、次に薦められた物件は購入しておりません。物件を購入する時は、積算評価をしっかりと確認することです。その求め方については第3章で触れますが、建築コストがいくらになるのか、地価がいくらになるのか(近隣の売買時価などを不動産屋に聞いて調べる、税務署に出向いて路線価を調べる、役所で公示価格を見るなど、やり方は様々です)といったことをしっかり把握しないと、専門家からすればへんてこりんな物件を、優良物件であると掴まされてしまっても「本当の価格」に気づくことができないかもしれないのです。不動産屋としても、資金繰りの都合上、どうしても誰かに買って欲しい売れ残りの物件が出てくることは避けられません。たくみな誘導に乗せられてしまわないためには、しっかりとした下調べと、条件を踏まえて適正価格を算出できるだけの知識、ないしは知識を持つアドバイザーの存在が必要不可欠です。

このページの先頭へ