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いま、マンションで

2016年10月20日「木曜日」更新の日記

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あなたは、「マンション」という言葉にたいして、どのようなイメージをもつだろうか。頑丈な鉄筋コンクリート建てだから、火災に強く、防犯性もよさそうだ。それに、玄関扉一枚にカギをかけただけで外出できる。このように考えると、けっこうマンションの住み心地はよさそうである。しかし、いったん住んでみると、予想もしていなかったことがおこる。「鉄筋コンクリートの建物に雨漏り」など夢想だにしないであろうが、雨漏りする新築マンションはけっしてめずらしくない。雨漏りなどの建物の欠陥は、建築後早い場合には六ヵ月、場合によっては一〇年も経過してからおこる。このようなトラブルが発生するかどうかは、マンションを購入する時点ではもちろん把握できない。マンションでは、壁や床・天井を隔てた両隣や上下階には他人が居住している。騒音やペット飼育をめぐってトラブルがおこると、居住性はいっきょに悪くなる。一見、頑丈そうな鉄筋コンクリートの建物も、時間の経過とともに劣化することは避けられない。劣化を抑制して長期保全をはかるために、定期的にメンテナンスをおこなう必要がある。とくに、外壁などの躯体は十数年ごとに改修工事をおこなうのが常である。マンションの規模によっては、数億円という改修費が必要になる。十分な改修費が準備されていた場合でも、改修工事をどのようにすすめたらいいのだろうか?素人の集団である居住者には頭が痛い大問題である。以上のような問題にたいして、マンション居住者は、どのように対処していけばいいのだろうか。本書は、これらの問題解決の処方箋を、マンション居住者の目線で与えようというものである。建物の欠陥が露呈する一九九六年、日弁連消費者問題対策委員会は「欠陥住宅被害一一〇番」を実施した。そこに寄せられた分譲マンション一二一件の欠陥別集計では、「雨漏り」が「騒音」「ひびわれ」につづいて三位を占めていた。ある月刊誌は、最近の分譲マンションにおける雨漏りの実態を、築一年目に雨漏りがおこった東海地方のマンションと、築四年で和室天井が腐って落ちた立川市のマンションの実例にもとづいて明らかにしているが、その原因として手抜き工事を指摘している。一般に、鉄筋コンクリート建物における漏水は、屋根と外壁からの雨水の浸透によっておこる。屋根からの漏水は、パラペット部の防水の不具合箇所からおこることが多い。しかし、実際に漏水がおこった場合、どこから漏水するのかをつきとめることは容易ではない。防水の専門家は、「建物躯体のコンクリートが健全であれば、防水に多少の問題があっても雨漏りなどはおこらないはずだ」と断言する。建物の雨漏りの約六五%を占めるといわれている外壁からの漏水は、躯体コンクリートのひびわれ、打継ぎ面、ジャンカ(モルタルと分離した粗骨材が集まって空隙が生じた状態)、窓枠まわりの空隙などが原因でおこる。ようするに、コンクリートの手抜き工事が雨漏りの原因なのである。コンクリートの手抜き工事の被害は雨漏りにとどまらない。水増しコンクリートが使われると、ひびわれや強度不足を引きおこし、建物の耐久性を低下させる。新築マンションの調査で見られる共通の欠陥状況として、「きわめて早い時点におけるひびわれの発生」をあげている専門家が多い。具体的には、床コンクリートの貫通ひびわれによる漏水が築後一~二年で各所に発生しており、さらに共用廊下、バルコニーの片持ちスラブ(一端が固定支持され、もう一端が自由な床版)、手すり壁、屋上パラペットなどにも、ひじょうに早期にひびわれが発生していることを指摘している。

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