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騒音トラブル

2016年10月22日「土曜日」更新の日記

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多くのマンション居住者が経験する不愉快な現象は、騒音だろう。もっとも多いのは上の階から伝わる生活騒音である。子どもが跳びはねる音、留守番電話のメッセージ、深夜のシャワー音など、さまざまな音が聞こえてくる。生活騒音は上の階のみではない、壁一枚へだてた隣の部屋からテレビの音声が漏れてくることがある。また、深夜に聞こえてくるきしむような音。床や壁にすきまや穴などが存在する場合にも空気音が伝わる。このようなとき、「マンションは長屋である」ことを思い知らされる。マンション居住者にとって、騒音問題は一筋縄ではいかないやっかいな問題である。理由は二つある。その一つは、騒音を出しているのが同じマンションの居住者であること、もう一つは、同じ音でもその受けとめ方には個人差があり、騒音と感じる人と生活音として気にとめない人がいることである。たとえば、上の階の子どもが跳びはねる音にたいして、妻は転居まで考えるほど悩んでいるのに、夫は「いっこうに気にならない」と平然としていることがある。一般に、音を出しているほうでは、騒音を出しているという意識が薄い。被害者側か直接相手側に善処を訴えた場合、隣人どうしが犬猿の状態になることが多い。マンションにおける騒音は、建物の構造、とくに床の構造に左右される。音は音源が引きおこす空気の振動が、音波として空気中を伝播していく現象である。音が人の耳に達する経路によって、空気音と固体音とに大別される。音源が同じ室内の人の声やテレビであれば、音は直接空気中に出される。これが空気音である。上の階からの騒音は、空気の粒子がコンクリート床を通りぬけてくるわけではない。上の階で床に与えた衝撃によって床が振動し、これが音源となって裏側に音を放射する。これが固体音であって、騒音問題を引きおこしている音の大半は、この音である。床から生じる音は床衝撃音とよばれ、重量衝撃音と軽量衝撃音に分類される。前者は、子どもが跳びはねるなどの重低音で、振動しにくい床ほど遮音性がいいことになる。振動しにくい床とは、コンクリートのような密度が高い材料でつくられた床厚が大きい床である。後者は靴音などの比較的高い音で、床の仕上げ材にフローリングとよばれる化粧合板を使用した場合に、このような音を出しやすい。フローリングは、ダニ防止の面から人気があるが、問題も多い。音の発生は、フローリング材の等級と床の構造によって左右される。新築マンションの場合には、これらの点をあらかじめ考慮しているので、騒音のトラブルは少ない。問題は、中古マンションにおける二階以上の居住者が、それまでカーペット仕上げだった床をフローリングにリフォームする場合におこる。階下の居住者が、ある日から突然、騒音に悩まされるのである。遮音等級がもっともすぐれたフローリング材を使用した場合でも、階下の居住者が音に敏感な人であれば騒音問題が発生する。遮音等級とは、機械を使って床を連続的にたたき、階下で騒音を測定して床衝撃音を測定し、その値におうじて決める。ようするに、マイクロホンで物理的に測定した音によって遮音性を決めており、階下の居住者の耳の鼓膜の振動の強さで測っているのではない。居住者がリフォームをする場合には、工事内容をしめした書類を添えて管理組合の許可をもとめることになるが、フローリングの場合には慎重な対応を必要とする。フローリング床には、もう一つの問題がおこっている。現在、多く使われている「複層フローリング」には、シックハウス症候群を引きおこす代表的な原因物質であるホルムアルデヒドの放散量が多いものが使われていることである。改装による騒音問題を解決できたとしても、居住者自身が頭痛やぜんそくに悩まされる恐れがある。

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