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瑕疵担保期間

2016年10月31日「月曜日」更新の日記

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どんなに注意をはらって施工した建造物でも、ある確率で局所的な欠陥が生じることは避けられない。これが初期欠陥である。新築マンションの場合、専有部分であれば、購入者自身がチェックして、売り主である分譲会社に手直しをさせる。しかし、手直しは内装や設備の不具合が主体であって、共有財産である建物躯体の欠陥については、管理組合が対応しなければならない。民法五七〇条では、売買などの契約の目的物に瑕疵(欠点・欠陥)があるとき、売り主や物を引き渡した人に負うべき責任を定めている。これが瑕疵担保責任である。売り主にこの責任を追及できる期間を瑕疵担保期間という。売買契約にもとづく瑕疵担保期間は、買い主が欠陥を知った時点から一年以内とされている(民法第五七〇条、五六六条)。この規定によると、売買のときから何年経過しても、欠陥を発見してから一年以内であれば、いつでも責任を追及できることになる。マンションの売買契約においても、売り主の不完全履行責任をみとめ、瑕疵捕修請求(有)を肯定する立場からは短期の期問制限がのぞましいという考え方があり、この期間は当事者の合意で短縮することができる。そこで、宅地建物取引業法では、買い主を保護するという趣旨で、不動産の引き渡しの日から二年未満という瑕疵担保期間の特約を禁止した。この結果、多くの分譲会社は、短縮の許される殼短期間である引き渡し後二年という瑕疵担保期間(宅建業法四〇条)を設けることになった。このために、マンションの売買契約書には瑕疵担保責任として「乙(売り主)は本物件の隠れた瑕疵にたいしては、引き渡しの日から二年間担保の責任を負います」と記載されている。さて、売り主の瑕疵担保責任の内容は、明文上、損害賠償諸求権と解除権であり、瑕疵補修請求権については規定がない。一口に瑕疵といっても、その内容は多岐にわたり、民法上の瑕疵担保責任にいう瑕疵に該当するかどうかの判断は、困難をともなう。民法上の瑕疵にあたるとみとめられる場合にも、損害賠償請求権を行使するためには、買い主がまず自分で瑕疵を補修し、その費用を分譲会社に請求することになるのでめんどうである。買い主はむしろ、分譲会社が瑕疵の補修をおこなってくれることを望むことが多い。そこで、分譲業者の団体は、売買契約に際し、マンションに一定の欠陥・不具合がある場合には、それが民法でいう瑕疵かどうかは問わず、一定期間にかぎり無条件で補修責任を負うことを決めた。これが、アフターサービス特約である。売買契約書に特約条項を挿入し、「アフターサービス基準」を提示する方法でおこなわれている。アフターサービス期間は一般に、以下のようになっている。①屋根の雨漏り=一〇年、②外壁からの雨漏り=五年、③構造・機能をそこなうコンクリート躯体のひびわれ・破損=二年、④浴室床の漏水=一〇年、⑤給排水管からの漏水=五年、⑥電気配線の結線不良=五年、⑦窓や玄関扉の雨漏り旦二年、⑧屋根・バルコニーの排水不良=二年、⑨内部仕上げ、各種設備などの破損・不具合=二年以上のうち、屋根と外壁の雨漏りについては建物完成の日から、共用施設は最初にその使用が開始された日から、その他の部分はその物件の引き渡し日から、となっている。関係者のあいだでは以前から、コンクリート躯体のひびわれのような欠陥にたいして二年という保証期間は短すぎる、という指摘があった。建物の欠陥は、五年や一〇年経過してから顕在化することが多いからである。さらに、床のたわみや傾斜などの重大な欠陥については、まったく触れていないのである。あいつぐマンションの欠陥問題を重視した政府は、消費者保護の立場から、一九九九年六月の通常国会で「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(住宅品質確保促進法)を制定した。この法律は二〇〇〇年四月に施行されることになっている。この法律により、新築住宅の売買契約の売り主は、買い主にたいして、基本構造部分にあった欠陥については、引き渡しの日から一〇年間、欠陥を補修するなどの義務を負うことになった。ここで、基本構造部分とは、構造耐力上主要な部分(基礎、基準杭、柱、壁、床版、屋根版)と雨水の侵入を防止する部分(屋根の仕上げ・下地、外壁の仕上げ・下地など)である。アフターサービス基準とくらべてみると、瑕疵担保期間は、外壁からの雨漏りが五年から一〇年に、構造・機能をそこなうコンクリート躯体のひびわれなどが二年から一〇年に延長され、さらに床のたわみや傾斜などの欠陥についても一〇年間の担保責任を義務づけている。アフターサービス基準は分譲業者の自主的な基準であって、法的な裏づけもなく、結果的に分譲業者保護の役割をはたした側面があった。住宅品質確保促進法の一〇年保証は、法律による強行規定によって業者に瑕疵担保責任を義務づけた点に意義がある。

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