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日本の課題

2016年11月10日「木曜日」更新の日記

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日本の若者を取り巻く住宅事情は、他の先進諸国と比較して、非常に厳しいといえるだろう。とくに、若者が親世帯を離れ、居住の自立を果たすうえで重要な役割をもつアフォーダブルな借家の供給は、かなり乏しい状況にある。また、社会保障としての住宅政策がほとんど機能していない。このことが、日本の多くの若者を親元にとどめ、また親から独立して、自分の世帯を形成する者の生活を非常に厳しいものにし、結婚や子どもをもつといったライフステージの移行を困難にしていると考えられる。わが国の住宅政策においては、近年、住生活基本法(2006年6月施行)によって、若い子育て世帯の公営住宅優先入居が掲げられるなど、新しい動きもみられる。しかし一方で、公営住宅の供給量は非常に少なく、収入基準が引き下げられるなど、その対象はますます限定されてきている。また、現在においても、家族をもたない若い単身者や親族以外と同居する者にいたっては、どんなに住宅に困窮していたとしても、公営住宅の入居資格は与えられない。UR住宅(旧公団住宅)や公社住宅、国と地方自治体の補助により入居者の家賃負担を軽減する特定優良賃貸住宅に関しては、中堅所得の勤労者を対象とし、新婚世帯や子育て世帯(一部は単身世帯や非親族の同居世帯も対象とする)に良質な賃貸住宅を供給してきた。しかし、こちらも供給量や立地などの面において限定されている。また、失業者や低所得者は利用しにくい状況にあり、若者の適切な住宅の確保に大きく貢献しているとはいいがたい。2007年には、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭、その他住宅の確保に特に配慮を要する者への賃貸住宅の供給促進を目的として、住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進法(通称一住宅セーフティネット法)が施行された。現在はまだ基本方針が示されているだけの段階である。この住宅セーフティネット法が、今後どのように具現化されるのかは、注意深く見守っていく必要があるだろう。日本における若者を対象とした社会政策は、雇用機会の提供を主な目的とした施策に傾斜してきた。しかし、彼らの生活基盤の安定性を保ち、自由な家族形成を促進するためには、適切な住まいが確保されることが大前提である。若者の居住の改善には、住宅政策が大きな鍵を握っており、政府や地方自治体による住宅供給システムへの積極的な介入が求められている。

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