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集合債権譲渡担保と対抗要件

2016年12月31日「土曜日」更新の日記

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単一の指名債権は通常は価値が小さいため,担保目的であれ回収目的であれ,譲渡の対象とされる債権として実際には重要なのは,「複数の個別債権の束」としての集合債権である。そのようなものとしては,医師の診療報酬債権,賃料債権,在庫商品の販売によって生じる売掛代金債権,リース・クレジット債権といった,将来にわたって定期的に発生する多数の小口債権が問題となる。【担保目的の集合債権譲渡契約の機能】集合債権譲渡契約が担保目的で用いられる場合には,いくつかの様相を異にする局面がある。第一に,資産価値の不安定な指名債権は,不動産抵当権等の主たる担保の単なる補強手段(添え担保)として用いられるに過ぎないことも多かった。したがって,逆に,債務者Bが担保目的の指名債権譲渡契約のみによって融資を得ようとするときには,利率等の融資の条件は不利となるが,その結果この担保設定は不合理な行動を敢えてとるものとして,Bが実質的危機時期にあることのシグナルと見なされ,Bの信用不安を惹起しやすい。これは融資者AにとってもBにとっても不利益なのでC被譲渡債権の債務者Cに対する債権譲渡通知を留保する慣行(「サイレントの慣行」と呼ばれる)が形成される。しかし,第二に担保目的の集合債権譲渡契約は,企業の収益そのものを融資者が把握しようとする法的手段として積極的な意義を持つ。例えば在庫形成のために販売業者Bに融資をしたAは,在庫上に集合動産譲渡担保権を設定するのみならず,当該在庫の売却によってBが得ることになる売買代金債権について,担保目的の集合債権譲渡契約を締結しておけば,買主が弁済する前までは,キャッシュフローそのものを把握し続けることができる。さらに第三に,Cの資力が安定していたり,複数の譲渡対象債権についてそのポートフォリオを適切に組んだ場合には,被譲渡債権それ自体の価値を債務者Bの資力から独立させることができ,そのような集合債権を用いてBはヨリ大規模な資金調達が可能になる。これが特別目的会社(SPC)を用いてなされる資産流動化としての債権譲渡である。この債権譲渡においては取立・管理などの事務(サービシングと呼ばれる)は譲渡人B(「オリジネータ兼サービサー」などと呼ばれる)に留保されることも多く,集合債権譲渡における買受人の地位に立つSPCはこの集合債権を証券化して,市場の投資家から大規模に資金を調達する。

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