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新聞でみる借地借家の紛争事例 その3 <ケース2>

2017年2月25日「土曜日」更新の日記

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  〈ケース2〉 この事例は、組員の愛人(A)が一人で住むと偽ってマンションの一室を借りたのですが、その直後から組員が同居し組事務所として使っていたものです。  A子(未成年=一八歳)は、昭和六一年一月に右のマンションの一室を賃貸借期間二年、家賃一か月七万九〇〇〇円の条件でマンション所有者と契約したのですが、その際Aは「私は成人であり、部1.には一人で住むつもり」と話し、所有者もこれを信じて賃貸借契約に応じたわ けです。ところが先に述べたような契約違反がすぐ出てきたのです。  右マンションの契約書には、・貸主の承諾なくして居住人員を増加してはいけない、・借主は近隣の迷惑になることをしてはいけない、という条項が盛り込んであるのです。  所有者は「騙されて契約したのであり、また入居後、契約条項にも違反している」として契約の解除を内容証明郵便で通告したのですが(同年九月)、A側はこれに応じず、結局は訴訟になりました。請求の内容は、部屋の明渡しと明渡し完了までの(家賃相当額の)損害金の支払いです。判決は、「Aが虚偽の事実を述べて契約し、原告もこれを信じて契約した。Aの入居後は仲間の出入りも多く、マンションの他の住人や所有者らに大きな不安を与えた」として明渡 しを認め。さらに「仮執行」も認めました(昭和六二年七月九日・東京地裁)。                 その他、暴力団がらみの立退き・明渡しでは、地主家主側に味方し、有利な展開をみせていることは事実です。最近のヶ-スをいくつか紹介しておきましょう。    ・ 借地借家の関係を通り越して「刑事事件」にまでなった事例   ・留守中に家を壊したI立退きのもつれ こんなひどいことをしなくても……と普通の人なら考えますが、一方、暴力で建物を壊した側にも一分の理があり「賃借人が何のかのといって居座るからだ」-というわけです。    そして、こんな事件まで惹き起こす根源に、借地法や借家法があることは、誰もがわかっているのです。    〈家を壊した・その1〉    不動産業者のBは、東京・山手線駅前にあった木造モルタル三階建ての店舗兼住居を買った   (土地は借地)。ところがその一階で飲食店を営み家族と一緒に居住していたAさんが立ち退かないので建物を壊してそこを占拠することを計画し、まずBは立退き屋Cに右建物を借地権つきで売却した架空の契約書を作った。    Cは、Aさんが正月休みに旅行することを調べ、家人の留守中に解体屋六人を雇って同建物 の周囲の柱だけを残し、十数本の柱を切断しメチャメチャに壊した。  Bが右建物を買ったのが七月、Aさんとの交渉が決裂してCと架空売買をしたのが一一月、家を壊したのが翌年一月。Bにしたら。半年間、待ちに待ったのに”Aさんが立ち退かなかったからだIというわけでしょうか。  B・Cらは建造物損壊(刑法二六〇条)と威力業務妨害(同二三四条)で警視庁・荒川署に逮捕されました。  〈家を壊した・その2〉  こちらは神奈川・大和市で、木造二階建ての旅館兼住居(二九〇平方メートル)を、パワーショベル二台・作業員十数人でほぼ全壊させた事件。もちろん立退きのからんだもので、旅館主Aさんの土地の所有者が、第三者に土地を売り土地の名義変更があったのが発端です。  つぎに土木建設業のBがあらわれ「土地明渡しの交渉からサラ地にするまでの作業」を請け負ったIといってAさんに接近。立退き話は まとまらず、Bが暴挙に及んだものです。この事件では名義変更・交渉・不法取壊しまでの期間は二か月足らずで、とくに取壊し作業は予告もなしに、やはり家人の留守を狙って行にわれました。    そして取壊し作業は、旅館主のAさんが一一〇番をし、警察署員が現場にかけつけ中止を命じたのに聞き入れず、結局は家屋のほんの一部を残しただけで全壊状態にしてしまうというひどいものでした。    Bはもちろん建造物損壊の現行犯で逮捕され、裁判でBは懲役一年六月の求刑をされ判決も「懲役一年六月(ただし執行猶予四年)」でした。この事件、なぜ執行猶予がついたのかをよく検討してみる値打ちはあります。立退きがからんで裁判所も頭が痛かったのでしょうか?    ・ 「民事」で裁判所が認めた立退き・明渡し    もちろん暴力団がらみのものを拾っているのですが、これがどれほど多いか、そして裁判所にとっても、社会通念をバ″クにして、どれほど処理しやすいか ここに皆で考え、検討するだけの意味があるのです。当事者の一方が暴力団であると、裁判所もかなり強気な判断をします。

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