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暴力団が立退きで和解

2017年2月26日「日曜日」更新の日記

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ふつうの会社員だと思って貸したアパートの部屋を組事務所として使ったのは「賃貸借契約 に違反するから、部屋を明け渡してほしい」と裁判に訴えたアパート経営者Aさんに対し、暴力団員側はその口頭弁論の途中で「部屋を立ち退き、滞納家賃も払う」と和解(静岡地裁)に応じました。このケースは昭和六一年一二月にAさんが月額五万五〇〇〇円で組員に貸し、六二年五月に訴えたものですが、同年七月六日には和解にこぎつけたというスピード解決です。 暴力団員に退去の判決  アパートの家主が、入居している組員に契約解除を申し入れたものの、立退きに応じないため争っていた訴訟で、裁判所は被告の暴力団員に対し「仮執行宣言付き」の明渡しを命ずる判決を出しました(昭和六二年七月一五日・長野地裁)。 マンションの組事務所の競売を認めた  マソションのなかの組事務所へ再三の発砲事件があったことに耐えられなくなった住人と管理組合が、事務所になっている部屋の名義上の所有者になっているBさんを相手に、事務所となっている部屋の競売を求めて訴えました。裁判所は「そこに暴力団がいるかぎり、今後も発砲事件が起きる危険性がある」とし「部屋の使用禁止といった(生ぬるい)方法では住人の平穏な共同生活を維持することは困難」と認め、マンション法による管理組合の競売申立てを認める判決を出しました(昭和六二年七月二七日・名古屋地裁)。 暴力団事務所は出ていけ 暴力団に事務所を貸している家主が「財産、生命に対する危険が切迫している」として出していた建物明渡しの断行の仮処分=仮の地位を定める仮処分―ですが、収去・明渡しまで実行してしまうもの=申請が認められました(昭和六二年九月一六日・千葉地裁)。   この事例は、家主のAさんが、土木作業員の派遣事務所として使うという条件で、個人名義で事務所を貸したところ、あとになって組事務所として使われていることがわかりました。このため、同じ敷地にある駐車場の解約が相次ぐという被害まで受けたというものです。   漬物会社が実は暴力団事務所-    この例も用途違反による立退きの例です。家主は「漬物会社といったから貸したのに、暴力団事務所として使われている」と暴力団を訴えました。全国の家主さんに知ってほしいのは、   これは”よくあるケース”なのです。    とにかく木造二階建ての事務所兼住居を貸したこの家主さんは、不動産業者の仲介で身元を隠して「漬物会社」で入り込んだ暴力団に立退きを要求したのももっともで、裁判所は家主側の主張を全面的に認め、暴力団側に事務所の明渡しやコンクリート製の防護壁の撤去を命じました(昭和六二年一一月二七日・宇都宮地裁)。特記すべきは、この裁判は六か月で片づいたということです。   使用禁止のうえ「迷惑料」も支払えの判決-  このケースは。マンションの暴力団の部屋の使用を禁止したうえ、さらに「迷惑料も支払え」としたもので、いわゆるマンション法による判決です。そのあらましは、つぎのとおりです。  このマンションに入居したA組長は、契約の際「舶来小物・事務機器の販売をしており夫婦の居住用として使う」といったのですが、すぐに組員数人を同居させて組事務所として使い始めました。他組と抗争が始まると鉄板、砂袋、寝具などを持ち込み、ついに発砲事件も起きたようです。  マンションの管理組合は「生命・身体の安全」を理由に、組長の部屋の使用禁止と損害賠償を請求しました。これに対し裁判所は「マンションが抗争の拠点となり、住民は多大の迷惑を受けている」と管理組合の訴えを全面的に認めたうえで、組長に、  ・ 判決が確定した日から三年間部屋の使用を禁止する  ・ 原告に三〇〇万円を支払え  ・ 訴訟費用は被告の負担とする  という判決を出しました(昭和六二年五月一九日・福岡地裁)。近時、暴力団の立退きを認める裁判例が多いことは先に紹介したとおりですが、これに「プラス迷惑料」を認めたケースは注目されるところです。  なおこの訴訟では、訴えの提起とともに組長室への「立入り禁止の仮処分」の決定があり、  すでにこの段階で組長らの部屋使用が不可能な状態となっていました。この法的手段が訴訟を遂行するうえで大きな影響(先手必勝)があったことも付言しておきます。                どうでしょうか。暴力団だから立ち退けというのではなく、悪質の借主だから立ち退けといっていると理解するのが素直です。この点はよく検討する値打ちがあるというものです。

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