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親父に「勘当だ」と言われて家出したが親父が亡くなれば相続権は転がりこんでくるか?

2017年7月26日「水曜日」更新の日記

2017-07-26の日記のIMAGE
親父の経営する小さな和菓子店を手伝っていた。親父が頑固でなかなか店を継がせてくれない。ある日、「ぼくが店を任されたら、はやらない和菓子屋なんかやめて、コンビニエンスストアにしたい」と親父にいったら、烈火のごとく怒り出し、「おまえは勘当だ」と宣言されてしまった。頭にきて家を飛び出し、いまはブラブラと遊んでいる。親父のひと言で遺産相続権が失われるわけではないし、少し親父を放っておいて、死んだらぼくの思いどおりにするつもりだが・・・。〔結論〕はやく家に帰って、父親と店のやり方を話し合え。相統権がなくなるかもしれない。たしかに、「おまえは勘当だ」のひと言では法的に相続権はなくならない。だがそのあとが問題だ。君に絶望したお父さんは、本当に君を勘当する手続き(民法八九二条・推定相続人の廃除)をとったかもしれないし、ひそかに遺言(同八九三条・推定相統人の遺言による廃除)をしたためたかもしれないからだ。「推定相続人の廃除」というのは、法律が認める現代の勘当だ。家庭裁判所に申請し、これが認められれば相続権が失われる。ただ、申請すればいいというわけではなく、被相続人(親)にたいし、虐待をしたり、重大な侮辱をくわえた場合や、推定相続人にそのほかの著しい非行があったと裁判所が認めることが前提だ。和菓子屋をコンビニにするといったくらいでは、ただちに「重大な侮辱」にはならないだろうが、父親を放っておくと、重大な侮辱になる可能性がある。「病老の父を見舞わず音信下通のままにしているのは、重大な侮辱をくわえたことに当たる」とされた判例もあるのだ。ただちに「現代の勘当の措置」がとられることはないかもしれないが、大切な和菓子屋をコンビニにされるくらいなら、ということで、君を推定相続人から廃除するという遺言状をしたためたかもしれない。この場合、お父さんが死んだあと、遺言の執行者はお父さんの意思を受け「遅滞なく家庭裁判所に廃除の請求をしなければならない」(八九三条)ことになっている。父親を放っておくというのは、いずれにしてもよくない。モラルの問題もあるし、勘当に一歩ずつ近づいていく可能性もある。かりに、君がすでに推定相続人から廃除されてしまっていたなら、土下座してでもあやまることだ。そして勘当を解いてもらうのだ。被相続人は、いつでも「廃除の取消し」(八九四条)を求めることができる。子供だからどんなことをしても相続権があると考えるのは、いささか甘い。

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