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「間取り」ではなく「場取り」の発想

2017年8月24日「木曜日」更新の日記

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一日の生活時間やライフサイクルごとに一つの空間をさまざまに利用する。さらに、家具やインテリアを変えることで生活や日常の中で起きるできごとにそのつど対応したり、もっと住まいが変化してマンネリ化しがちな生活の気分転換ができたら、どんなに楽しいことだろう。じつは、これこそがわが国の伝統的な住まい方の基本なのだ。古来から、住まいの設計をするときに最初に行うのが間取りである。寝間、広間と、基本となる間を取っていく。しかしよく見ると、確かに間はあるものの、どれも部屋として充分な区画はされていなかった。 近年になってやっと、納戸と呼ばれる扉で閉ざされる部屋ができたくらいで、ここに大切な家財を収納し、夫婦の寝室としても使われたのだ。おもしろいことに、このかつての代表的な民家の間取り例(広間三間型とも呼ばれている)は、奇しくも今日の二LDKと、面積も間取りのパターンもよく似ている。かまどのある土間がキッチンに変わっただけで、プランはほとんど同じだったといえる。ところが住まい方ともなるとまったく違う。かつては夫婦だけが閉ざされた納戸に寝て、子どもたちはその部屋を取り囲むように寝ていた。要するに、親たるもの、そのプライバシーにおいても威厳においても、確たるものだったことを物語る。それが今の二LDKではどうだろう。小さな子どもが確たる寝室を得て、親はリビングの片隅で寝るという、親子の立場の逆転が起こっている。いずれにせよ、これらの小住宅においては、本来の間取りをして部屋を壁で区画するより、寝る場所・食事をする場所を取る「場取りをする」といったほうが適切だ。なお、かつての民家は外との仕切りが障子やふすまでできていて、家の中と外とがほとんど一体化していた。小住宅でも広々していたのである。それが今日の二LDKはまさしくコンクリートの箱で、その外郭は身動きもならない。この閉ざされた箱の中で、どうやって柔軟に生活の「場」を確保していくかが、快適な住まい方のポイントともなるだろう。

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