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ワンルームで快適に暮らすアイディア

2017年8月30日「水曜日」更新の日記

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自在空間に住むことこそ、現代の都会人の最も高度で洗練された住まい文化だ。いまや、不必要に広く大きな住まいに住む時代は去ったのである。あの巨大好きなアメリカ大さえ、小回りのきくコンパクトカーを求め、住まいも極力小ぶりにしている。マンハッタンのワンルームアパートでは、巨大なベッドや家具はない。FUTON(布団)を一つ置き、昼間はそれをくるくると巻いてソファにし、夜はまさしく布団にして寝る。これこそ日本の座式生活そのもので、彼ら高文明の国も、やっと日本の高文化に気づいてきたのだ。話がだいぶ横道にそれてしまったが、今の固定された間取りの二LDKや三DKでは、とにかく狭い。狭苦しい。そこで、この間仕切りを思い切ってI切なくしてみる。 巨大なワンルームにしてみるのだ。すると、どうだろう。今までの狭いわが家がなんと大きな住まいだったかと、あらためて感心することだろう。われわれの大先輩の建築家、清家清氏は、ご自身でこのワンルームを実践され、「わが家はウサギ小屋どころか"ワンツ"ルームだ」といって笑っておられたが、家族一部屋主義だととても広い。団らんにとっても最高だ。しかし、間仕切りを取り去ってワンルームで住むためには、先の旧日本家屋のように、二、三の注意が必要だ。その一つが各自のプライバシーの尊重で、そのためのルールづくりが大切。 さらに、各自の生活行動や時間を極力合わせ、その中間点を見出すこと。そして最後が、家族同士の空間の譲り合いといったところか。三LDKほどのマンションの間仕切りをすべて取り去り、床も天井も高さをそろえ、仕上げも同一材で統一する。木造の一戸建ての場合は、どうしても柱が残るので、完全なワンルームにならないが、マンションの場合はトイレなどの水回りやコックリートでできた壁以外はすべて取り去ることができる。 さあ、この「巨大な大部屋」にいくつかの家具を置く。ほとんどが収納家具だが、底部にキャスターをつけ、天井までの背の高いものとする。これが「可動式間仕切り収納家具」だ。これを大空間の中でついたて代わりに使うのである。この間仕切り兼用の収納家具は、思いどおりに大部屋の中を動き回る。こうなれば、時間としたいことによって、空間の大小や間取りさえ、自由自在に変えられる。いくつもの住まいを持てたような気分にもなるものだ。友人を招いてホームパーティをしたいときは、寝室や子どものコーナーのほうへこの収納家具を押していく。そうすれば、リビングは巨大なワンルームになる。夜間は再び収納家具を動かして、寝室部分を広くすればいい。子どもスペースも、徹夜で勉強しなければならないときには広くできる。キッチンに近い位置に配置しておけば、自分で夜食をつくることも可能だ。さて、こうなると床に置かれたベッドや机などが、この問仕切り収納家具を動かすときに邪魔になる。 そこで、寝室コーナーの収納家具に、ベッドやドレッサーも組み込んでしまう。子どもコーナーにはベッドと勉強机を組み込む。こうすれば「可動収納間仕切り生活家具ユニット」が誕生し、各部屋の機能まで併せ持つことになる。この長ったらしい名称の家具ユニットは、寝室や子ども部屋などの個室用、リビングダイニングなどの家族用のものまで多岐にわたって考えられる。好みで種々の装置を組み込むこともできるし、いろいろな家具との組み替えも可能だ。簡単につくるなら、L字形をしたキャスターつきの「台車」の上に、欲しい家具をのせて、しっかり固定するだけでもいい。これに引き込み式の引き戸をつければ、ドアもできる。こうした動く間仕切り家具による、空間の拡大・縮小のことを「可変住空間システム」といい、古くから提案されているのだが、さほど必要もなかったのか、忘れられていた。しかし、今日のように空間のコストが高くなってくると、こうした装置家具で空間を多重に使うことが見直されてくる。

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