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交通アクセスは時間の短さよりも距離で見よ  

2017年9月7日「木曜日」更新の日記

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家を購入するときに、「タクシーのことも考えよ」というのには、もう一つ理由がある。 タクシーが、時間ではなく距離を思い出させてくれることだ。  電車は、利便性を時間でアピールする。「新宿から特急で20分」といえば、ずいぶん近いように感じる。だが、タクシーに乗るとびっくりするほどの料金を取られる。時間の割に距離があるからだ。このことは意外に忘れられている。  たとえば、小田急線に新百合ケ丘という駅がある。新宿からの路線距離は21.5キロ、所要時間は23分(快速急行)である。  新宿まで23分は、いかにも速い。だが、この時問の短さが錯覚を生む。新百合ヶ丘というところは神奈川県の川崎市にあり、深夜に新宿からタクシーで帰宅したら、時間で約40分、料金は1万2000円くらいかかる。   電車の路線距離は20キロちょっとだが、タクシーは線路ではなく道路を走るから、直線距離にはならず、4、5キロは多く走らなければならない。場所によっては、もっと距離が出る場合もある。仕事の性質上、深夜帰宅がけっこうあるような人が家選びをするときは、時間だけでなく距離も考えるべきだろう。タクシーに乗ったときの料金も考慮すべきなのである。  交通アクセスと不動産価格の関係は、距離よりも時間で測ることが多い。東海道新幹線ができたとき、それまで特急で7時間かかっていた大阪に3時間半でいけると聞いて、距離が半分になったように感じたものだ。  この錯覚はいまも続いていて、不動産価格は私鉄の場合、特急停車駅がいちばん高く、次いで急行停車駅、準急停車駅、各駅停車駅という順で安くなる。だが、近場の特急停車駅の隣駅が各駅停車だった場合、その近辺の物件は意外に安い場合がある。  いま例に挙げた小田急線でいえば、各駅停車で新宿から15分かかる豪徳寺へ行くのに、深夜、新宿からタクシーに乗ると、2000円以内で帰り着く。だが、電車で10分ほどの差しかない新百合ヶ丘に帰るには、1万円も多く払わなければならないのだ。  時間と距離のこの錯覚が理解できると、新しい家選びの戦略が生まれる。私鉄沿線で購入を考えるとき、各駅停車駅にも目を向けてみることだ。  東京の西側、新宿、渋谷、池袋といったターミナル駅から、それぞれ私鉄で同じ2、30分くらいなら、特急停車駅より各駅停車しか停まらない駅のほうが、地価が安いことがあるのだ。  ふつうの感覚だと、特急停車駅にいちばん価値があり、次に急行、準急。各駅停車駅は「不便だ」と思ってしまう。このとき、頭にあるのは時間なのだ。

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